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川場BASEkawaba BASE

2023 / 群馬県利根郡川場村Gunma, Japan

川場村は、周辺の市町村合併の波に飲み込まれることなく、自主自立の村づくりという理念を掲げ、里山や田園風景を生かした「田園理想郷」を目指して地域資源を生かした取組を続けてきた。
今回の計画は、その理念をより具体的な将来像へ繋げるべく、村の中心に約2.3haの非農用地を創出して進められてきたもので、北側の第1工区に、庁舎を中心に、むらの学習館、交流ホール、エネルギーセンター、防災倉庫等を中央の広場を取り囲むように計画した。山や畑に囲まれた美しい風景の中、機能を集約した巨大な施設をつくるのではなく、主屋のまわりに離れが連なる、まさに村の風景のような施設のあり方を目指した。広場は、イベント利用や災害時の避難場所など、様々な目的は想定されているが、特別な用事がなくても村民が立ち寄る場として、お年寄りから子どもまでが集う役場らしからぬ風景が日常になるとよいと考えた。
また、林業を産業とする村のイメージを視覚化する意味でも、構造材や外壁、床材などには積極的に地場産木材を利用した。特に、庁舎待合ロビーは、吹抜上部に杉の製材による架構台が大胆に展開し、広場に面したファサード越しに周囲の山並を望む明るく開放的な空間として計画している。
なお、各施設を結ぶ連絡ブリッジの基礎を利用したピットは、エネルギーセンターから各建物への電気や水などのインフラルートとなっている。
施設名は単に「川場村役場」ではなく、これからの川場村の中心となるという意味を込めて施設一帯が「川場ベース」と名付けられた。子どもたちの学習の場として用意された学習館が、夜9時まで開館するなど、単なる行政施設ではなく、村の人々の居場所をつくるという拠点づくりの理念が早速動き出している。

川場ベースでの冷暖房システムでは、熱源機として、木チップを燃料とする木質バイオマスボイラー(185kW)を採用しています。

掲載誌 新建築2024年1月号